叔父さんと私  ~危険な恋のレッスン~
「乾杯」

叔父さんはワインで、私は黒スグリジュースで、グラスの淵を合わせる。

「ブランシェのケーキってことは、さ」
私はスープ皿に盛られたブイヤベースにアイオリを入れながら、うかがうように見る。
「仕事、あがったってこと?」

叔父さんはワイングラスを唇に運びながら
「ん~、あと一息かな」
と、ご機嫌な感じで眉根をしかめてみせる。
「でも、ほぼエンディング」

その言葉を聞いて、私は複雑な気持ちになる。
(ああ…やっぱり)

やっぱり今日は「記念日」なんだ。
叔父さんが、女の人と別れた記念日。









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