叔父さんと私  ~危険な恋のレッスン~
私が「そのこと」に気づいたのは、4年前。

その少し前から、叔父さんは「恋愛小説家」として売れ始めていて、
作品が映画になったり、テレビドラマになったりとかで、めっちゃ忙しかった。

でも、それと反比例するように、叔父さんの表情は硬くなっていって……。
ーーピりピりしていた。
きっとプレッシャーを感じていたんだと思う。
あるいはスランプだったのかも。
中学2年の私にも、何となくわかった。

ところがある日、嘘のようにその表情が変わっていた。
晴れ晴れしていた。

それから三ヶ月ほどして、叔父さんは新作を発表した。
その作品は話題になり、叔父さんは小説家として不動のポジションを得た。


だけど……叔父さん、知ってる?
私、気づいていたんだよ?
あの日、叔父さんが酔っ払って帰ってきた日、
体から女性もののフレグランスが匂っていたことに。

叔父さんは、女の人と付き合うことで、スランプを乗り切ったんだ。

それから叔父さんは、作品が変わるたびにフレグランスを変えてきた。
やがて、私はわかった。

ああ、叔父さんは、小説のモデルを探すために女の人と付き合っているんだって。







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