高校一年生
夏
高校生になって初めての夏がやってきた。一年前の夏は、その夏に憧れてひたすらもがいたものだ。いや、実際はそうでもないが。
多くの人にとっては一般的にこの時期というものはとても眩しい対象ではないだろうか。
「高一の夏」と聞けば、少し甘酸っぱいような、くすぐったいような気持ちになるだろう。
ところがどうだろう。私にとっては、甘酸っぱさというものも、くすぐったさというものも微塵も感じない。
あるのは少しばかりの虚しさだけだ。
それを感じているのは、私だけなんだろうか。
気が合う友達もいない。部活はうまくいかずにやめた。恋というものが何なのかわからない。
そんな自分に焦って、けれど時間に追われることのない”長期休暇”というものに安定して、でもそんな自分がとても惨めで虚しく思えるのは、はたして私だけなのだろうか。
自分がどうしようもない。
周りのクラスメイトたちが理由もなく輝いて見えた。
そんな時、思ったのだ。
そんな私がすべて悪い。
いや、寧ろこの場所に自分を送り込んだことから全てが間違っていたのだと。
なんとも悲観的な「夏」の始まりだった。