幻物語
2
目を覚ますと昨日と変わらない見慣れぬ情景が広がっていた。
広過ぎる程の屋敷、中庭。
「私、未だ夢見てるのかな・・・。」
もう一回寝て来よう。
再び目を覚ましたら、きっと何時ものベッドの上で・・・。
「おかしいなぁ・・・未練一つ無い筈なのにね。」
知らない世界にタイムスリップしちゃう長い夢でも見てるんだよね?
「見知らぬ人達と過ごすのなんか一日で十分――。」
「日和」
ぼんやりと独り言を言っていると、襖の向こうで声がした。
慌てて襖を開けると紫さんが立っていた。
「おはよう」
「お、おはようございます・・・」
「昨日はよく眠れた?」
心配してくれてるんだ・・・さっきの独り言、まさか聞かれてないよね?
「はい、御蔭様で」
「そう無理に気を遣う必要は無い。」
紫さんはにっこりと笑っている。
「“見知らぬ者と過ごすのは一日で十分”そなたの顔に書いてあるぞ。」
そしてくすくすと笑いだした。
(聞かれてたんだ―――――!!!!!!)
「ごめんなさい!」
咄嗟に頭を下げると、
ポン、と優しく紫さんの手が頭上に添えられるのが分かった。
「日和は素直だな」
「えっ・・・・・・?」
私はほんの一瞬心臓が大きく波打つのを感じていた。
広過ぎる程の屋敷、中庭。
「私、未だ夢見てるのかな・・・。」
もう一回寝て来よう。
再び目を覚ましたら、きっと何時ものベッドの上で・・・。
「おかしいなぁ・・・未練一つ無い筈なのにね。」
知らない世界にタイムスリップしちゃう長い夢でも見てるんだよね?
「見知らぬ人達と過ごすのなんか一日で十分――。」
「日和」
ぼんやりと独り言を言っていると、襖の向こうで声がした。
慌てて襖を開けると紫さんが立っていた。
「おはよう」
「お、おはようございます・・・」
「昨日はよく眠れた?」
心配してくれてるんだ・・・さっきの独り言、まさか聞かれてないよね?
「はい、御蔭様で」
「そう無理に気を遣う必要は無い。」
紫さんはにっこりと笑っている。
「“見知らぬ者と過ごすのは一日で十分”そなたの顔に書いてあるぞ。」
そしてくすくすと笑いだした。
(聞かれてたんだ―――――!!!!!!)
「ごめんなさい!」
咄嗟に頭を下げると、
ポン、と優しく紫さんの手が頭上に添えられるのが分かった。
「日和は素直だな」
「えっ・・・・・・?」
私はほんの一瞬心臓が大きく波打つのを感じていた。