この愛に抱かれて
翌日、響子は明美に連れられ、牧村裕二のアパートを訪ねた。



裕二は、響子の父 牧村茂の弟だった。


「裕二、少しの間 この子預かって」


部屋の入り口でそう言うと、明美は響子を部屋の中に押し入れた。


「はぁ?」


「あんた、あの時 面倒見るって言ったじゃない」


「そりゃ、金があっての話だろ? 
文無しじゃ 意味ねぇよ」


「一週間だけ、ね?」


そう言うと、明美は裕二の返事も聞かずに、そそくさと部屋を出ていった。
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