この愛に抱かれて
「ったく、ふざけんなよ・・・」


裕二が めんどくさそうに響子を見た。



茂の慰謝料のうち、5百万円を貰った裕二は、アルバイトも辞めて遊びほうけていた。



「これから出かけっからよ、大人しく家にいろよ」


机の引き出しから一万円札を鷲づかみに取ると、無造作にジャンパーのポケットに突っ込み、裕二も部屋を出た。


鉄の階段を駆け下りる音がした後、原付バイクのエンジンが響き、やがて遠くに去っていった。
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