この愛に抱かれて
目が覚めたのは夜の10時過ぎだった。



裕二が帰ってきたのだ。



部屋の電気をつけた裕二が響子に気づいた。



「おまえ 居たんだっけ」



裕二は冷蔵庫の中をごそごそ漁ると、電子レンジで何やら温めた。



「はいよ」と、布団の横のテーブルに置いた。



皿の上には肉まんが ひとつのっていた。



肉まんの 白い湯気を眺めながら、響子は自分の無力さに辟易していた。



今の自分はペットと同じだった。


餌を与えられるのを待っているだけの、まるで犬猫だ。



肉まんを食べながら、目に涙が滲んでいた。


自分は 一体何のために生きているのか?


響子は首から下げていたお守りを強く握り締めた。
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