この愛に抱かれて
第4章 それでも生きろ
5月

埼玉県



明美に連れられ、響子は電車に揺られていた。


無一文になった響子を引き取りたいと言う親族は居なかった。


あの時、響子の養育費欲しさに我も我もと手を挙げた者たちは、みな冷ややかな態度で明美の電話を断った。



無理もない。



明美に足蹴にされたのに、都合が悪くなったから助けてくれというのは虫が良すぎる話だ。



途方にくれた明美は、ある女性のもとを尋ねていた。



駅からバスに乗り、住宅街を15分ほど走ったところに目的の場所はあった。
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