この愛に抱かれて
開け放たれた窓から吹き込む 心地よい五月の風が、カーテンを優しく揺らしていた。



明美は事故の詳細を話した。



自分たちが投資に失敗し、多額の借金を抱えていることも隠さずに打ち明けた。



そして、父親の入院費を払うのが精一杯で、響子を養っていくのは困難だということも。



道子は黙って聞いていた。



明美の話しが終わり、しばらく沈黙が続いたあと、



「お前さんも運がないねぇ」と響子を見ながら言った。
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