この愛に抱かれて
すると正座をしていた明美が、おもむろに後ずさりしながら、畳に額をつけるほど深々と頭を下げた。



「おばさん、よろしくお願いします」



「フッ、人間 落ちるとこまで落ちると惨めなもんだねぇ。あの時、あたしに息巻いてたあんたが 今じゃ土下座かい?」



明美は頭を上げようとはしなかった。



道子が響子の目を見つめた。



身も凍るような視線だった。

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