この愛に抱かれて
アパートに戻ると、道子は響子を台所に立たせた。




「これに乗りな」



30センチほどの高さの踏み台を流しの前に置いた。



そして引き出しから包丁を取り出すと



「これ、持ったことあるかい?」と聞いた。



響子が首を横に振ると、


「返事をし!口ついてるんだろ?」と、叱りつけた。



「はい!」



響子は背筋を伸ばして返事をした。
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