この愛に抱かれて
彼女は権利と義務を響子に与えたのだ。



ここで暮らすという権利を得るには、家事という義務をこなす必要がある。



権利だけを主張して、義務を果たさないのはルール違反だ。


そのことに道子はとても こだわっていた。



筋が通らないことは嫌いなのだ。



響子はその考え方が好きだった。



義務を果たせば、権利を主張できる。



自分は、誰に遠慮することなくこの家にいられるのだ。



そのことは 響子の気持ちを楽にしていた。



どこよりも 居心地のいい場所だった。
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