この愛に抱かれて
「お前が会って どうなる?
謝ったところで、亡くなったご両親は二度と帰ってこないんだぞ。
平穏に暮らしているところに お前が行けば、また事故の辛い記憶が蘇るに違いない。
あの子を苦しめるだけだ」



「そうだよ直樹。
お前の気持ちは分かるが、今会うことは悪戯に娘さんの気持ちを かき乱すだけだ」



直樹は遺族に謝罪していないことをずっと後悔していた。



自らの入院や裁判などがあり、事故の後、直樹は遺族に一度も面会していなかった。



そのことが、ずっと心に引っかかっていた。
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