この愛に抱かれて
事故さえ無かったら、今頃は家族三人で平凡な生活を送っていたに違いない。



こんな理不尽ないじめを受けることもなかっただろう。



響子は直樹を恨んだ。



両親を殺した男



その男は、いまもどこかで のうのうと暮らしているのだ。



自分の苦しみや悲しみなど知ることも無く、ふてぶてしく生きているに違いない。



響子は直樹のことをそんなふうに思っていた。
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