この愛に抱かれて
鬼のような男を想像していた。



そんな奴に負けたくない。



父と母の分まで、自分は生きるのだ。


何があっても、どんな苦しいことがあっても、死んでたまるか。



奇しくも、直樹への憎しみが響子の生きる支えになっていた。



あの男にだけは負けるわけにはいかない。



いじめという孤独な戦いに響子は独りで立ち向かっていた。
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