この愛に抱かれて
平成14年 12月



暮れも押し迫ったある朝、響子はいつものように布団をたたんで部屋の襖を開けた。


居間は真っ暗だった。


いつもなら道子が先に起きて、掃除を始める時間だ。


だが、家の中はひっそりと静まり返っていた。


散歩に出るにはまだ早すぎる。


居間の電気を点けて辺りを見渡す。


起きた形跡はないようだ。
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