この愛に抱かれて
不思議に思った響子は道子の部屋の襖越しに小さな声で呼びかけた。


「おばさん?・・・、道子おばさん?」


返事は無かった。



「おばさん、開けるよ?」


静かに襖を開けると、暗い部屋に居間の明かりが広がった。



盛り上がった布団の形から、道子がまだ寝ているのが分かった。



「具合でも悪いの?」


響子は蛍光灯の紐を引っ張って部屋の電気をつけた。


そして、道子の顔をそっと覗きこんだ。
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