この愛に抱かれて
親友の藤堂博史とは高校時代からの付き合いだった。

藤堂家は代々医者の家系で曽祖父が始めた個人病院を博史の父、京之介が大病院にまで育て上げていた。

博史もまた、直樹と同じように家を継ぐことを期待された跡取り息子であった。


「どうする?もう一回兆戦するかい?」

直樹が意地悪く聞くと、博史は手のひらを向けてストップをかけながら

「勝負はビリヤードだ」と言った。

「OK。
遥たちもいることだし、4人で勝負だ」


直樹たちがテーブルで談笑していると、別荘の管理人をしている佐山次郎が血相を変えて飛んできた。

手にはコードレス電話を持っていた。


「直樹さま!大変です!!」
< 15 / 252 >

この作品をシェア

pagetop