この愛に抱かれて
道子の勤め先の人も手伝ってくれて葬儀の手配も無事に終わった。


その晩、響子は道子の遺体の隣で眠った。


響子は道子と初めて会ったときのことを思い出していた。



道子の厳しいまなざし



容赦の無い躾



今となっては、そのどれもが懐かしかった。



振り返ってみれば、道子との生活は11年にもなっていた。



産みの親である恵美子とでさえ、一緒に暮らしたのは5年間。


赤ん坊の頃の記憶など無いに等しい。


道子は実質的な母親であった。
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