この愛に抱かれて
葬儀は響子の他、数人の知人だけで行われた。



火葬場の高い煙突からでる煙を、響子は ぼんやりと眺めた。



そして、また孤独になった。



葬儀代の支払いのために道子の貯金通帳を探していたときのことだった。

 

お名前 牧村響子



自分の名前の通帳があった。



中を見ると、毎月1万円づつ振り込まれていた。


全部で137万円あった。


最初の日付は平成4年6月



この家に来た翌月だ。
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