この愛に抱かれて
「あの・・・」

響子が男に話しかけた。


「?」

男は目をキョトンとさせて響子のことを見た。



響子は男に身体を寄せると、耳元で二言三言話した。



「え!?」


男は不思議そうに響子を見ると、暫く何やら思案した。



「行こう」

そう言うと、男は響子を連れて歩き出した。



途端に響子の心臓がドックンドックンと音を立てて動きだした。


男が向かったのは、ホテルではなく商業ビルだった。
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