この愛に抱かれて
「想い出の指輪なの?」



「両親の形見なんです」



「両親って、二人とも?」



「事故で死んだんです。私が子供の頃に、自動車事故で」


響子は 氷水のグラスの表面にできた水滴を指で擦りながら、そう言った。



男は 響子のことを見つめた。



トントン、



ドアをノックする音がした。
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