この愛に抱かれて
響子はブルスケッタをくわえたまま 男の顔を見た。



「君も・・・苦労したんだね」



「もしかして、あなたも?」



「ん?」



「事故で、親を殺されたんですか?」


男がパッと目を見開いた。



「いや・・・、そうじゃないけど。ただ、大変だったろうなって」



「大変だったなぁ」


響子は天井を見上げた。
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