この愛に抱かれて
牧村茂は娘の響子を肩車しながら動物園の中を回っていた。


「それにしても、子供っていうのは大きくなるのが早いな」


「本当ね。ついこの間、生まれたと思ったのに、なんだかんだで、もうすぐ6歳。
来年は小学生よ」


「俺たちもそれだけ歳をとったってことか」


「やだ。年寄りみたいなこと言わないでよ。フフフ」


恵美子は肩車をしている茂のそばにそっと寄り添った。
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