この愛に抱かれて
都内 藤堂邸


直樹は響子と会った帰りに、藤堂博史の自宅を訪ねていた。


「娘に逢った!?」


博史は目を丸くしながら叫んだ。



「そうなんだ」


「お前、娘の居場所を探したのか?」


「そうじゃない。偶然だ。偶然なんだ」


「偶然って、そんな・・・。本当にその子、あの時の娘なのか?」


「分からない・・・。だけど、加害者の名前を知っていた」


「お前の名前を」


「ああ」
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