この愛に抱かれて
隣のテーブル席に座った男が、直樹のほうをチラリと見て、


「あれ?」と言った。


男はもう一度直樹のことをよく見た。



「あ、やっぱり・・・。加藤さん」



まずい


直樹は息を飲んだ。



隣の席にいた男は、大手建設会社の社員で、直樹とは仕事の付き合いがあった。



「いやいや、これは意外なところでお会いしましたな。
こういう店にいらっしゃるとは驚きです」


響子が直樹の顔を見た。


「加藤って?・・・」
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