この愛に抱かれて
「嘘・・・、嘘よ・・・」


「済まなかった」

直樹は床に跪くと頭をつけて土下座をした。



「ちょっと・・・、悪い冗談はやめてよ」


響子は困惑した。


目の前で土下座をしているこの男が、本当に加藤直樹なのか?



自分の両親を殺したあの男なのか?



いや、そんなはずは無い。



自分が想像していた加藤直樹という男は、もっと図太くて野蛮で無神経な悪魔のような奴だ。



こんな優しい男が、あの加藤直樹であるはずが無い。
< 225 / 252 >

この作品をシェア

pagetop