この愛に抱かれて
「中井さん、冗談はやめてくださいよ」


響子は、直樹の肩に手を置くと、小さく身体を揺すった。


直樹は伏せていた身体を起こすと、響子の目をじっと見つめた。



「嘘じゃないんだ。俺が、君のご両親を殺した男だ」



「そんな・・・」



「15年前、俺の運転する車が、君とご両親の乗った車に衝突して、牧村茂さんと恵美子さんが亡くなった」


ハッ!


両親の名前を聞いたとたん、響子の全身は熱くなった。
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