この愛に抱かれて
そのころ加藤直樹は高速道路をひた走っていた。


車の時速は、ときに150キロを越えていた。


東京へ帰るには電車を利用するという選択肢もあった。


だが、ローカル線と新幹線を乗り継ぐ移動は、どんなに急いでも4時間近くはかかってしまう。


車のほうが早いのは明らかだった。


別荘には何度となく通っている。走りなれた道を行くほうが最善だと直樹は考えていた。


警察の取り締まりに引っかからないことを祈りながら、躊躇することなくアクセルを踏みこんだ。
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