この愛に抱かれて
「あの子に会って、どうする気？」


「事故の償いを・・・」


「フッ。償いって、あの子の一生をずっと面倒見る気？」


「彼女が望むなら　そうしたい」


「あなた馬鹿？・・・。そんな情けかけられて　あの子が喜ぶと思う？
あの子はいままで自分の足で歩いてきたの。どんなに辛いことがあっても、自分の力で乗り越えてきたのよ」


「・・・ああ」


「あの子、私によく言ってたわ。・・・辛いとき、いっそ自殺でもして楽になりたいと思ったことが何度もあったって。
でも、あの子は生きることを選んだ・・・。分かる？・・・。あなたに負けたくなかったからよ。
あなたを恨むことで、あの子は生きてきたの」



直樹に華恋の言葉が重く圧し掛かった。


響子を助けようとすればするほど、逆に彼女を苦しめることになる。


出口の見えない迷路に直樹は苦悩した。

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表紙・目次

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