この愛に抱かれて
響子は身も心もボロボロだった。


男というものが信じられなくなっていた。



孤独と戦ってきた響子は人一倍愛に飢えていた。



味わうことが出来なかった家庭の温もりというものを響子は手に入れたいといつも願っていた。


だが、その思いはことごとく踏みにじられた。


人を信じたいという純粋な気持ちを逆手に取り、響子は度々男たちに騙された。


あるときはホストの男にカモにされ、


またあるときは客の甘い誘惑に騙された。


この仕事を始めたとき、響子は華恋から色々なことを学んではいた。


客の狡さや仕事仲間の嫉妬


そういうことをすべて分かってはいたのだが、理想の家庭を追い求めるあまり、響子は同じ失敗を何度と無く繰り返していた。
< 231 / 252 >

この作品をシェア

pagetop