この愛に抱かれて
遥はソロのピアニストとして活躍しており、聡子は商社に勤めていた。


席で待っている2人のもとに響子がやってきた。



「こんばんは。牧村響子です」


「はじめまして。加藤遥です」


「私は水口聡子です」



「で・・・、私に何の用ですか?」


「兄のことで、今日は来ました」


響子は2人と目を合わせようとはせず、壁にかけられていた絵を眺めていた。



「兄は、あなたに会ってからずっと苦しんでいます。
いえ・・・、あの事故のときから15年間、ずっと苦しみぬいてきたんです」


「当然よ」

響子は はき捨てるように言った。
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