この愛に抱かれて
動物園の帰り道、牧村一家は国道沿いのファミリーレストランで少し早めの夕食をとっていた。


動物園で一日中はしゃぎ回ったせいで響子はすっかり疲れていた。

コクリ、コクリ

響子が、お子様ランチのスプーンを握ったまま居眠りを始めた。


「フフ。この子ったら、オムライス口に入れたまま寝ちゃったわ」


茂と恵美子はそんな娘の様子をいとおしく眺めた。


どこにでもある、ごく普通の家族の姿がそこにはあった。


眠ったままの響子を車に乗せ、牧村一家は自宅へと向かった。
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