この愛に抱かれて
高速道路を下りた直樹の車が一般道に入った。


博史の母親が緊急入院している病院までは、あと20分あまりだ。


別荘から目一杯飛ばしてきた直樹は見慣れたいつもの風景に少しばかりホットしていた。


普段よりも道がすいていたこともあり、スピードを落とすことなく走っていたそのときだった。


緩いカーブの向こうからきた対向車のヘッドライトがまともに目に入り、直樹の視界が真っ白になった。


目を細めて、一瞬、視線を落としたとき左の路地から乗用車が出てくるのが見えた。


「チっ!」


衝突すると思った直樹は咄嗟にハンドルをきって乗用車をかわした。
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