この愛に抱かれて
看護婦の連絡を受けて直樹の母親である節と妹の遥が部屋に入ってきた。


2人とも集中治療室の前の廊下で直樹の意識が戻るのを待っていたのだった。



白衣を着た節が横になっている直樹の左手を握りしめた。


「ここ何処?」

直樹が、節に尋ねた。


呼吸器用のパイプはすでに外されていたから普通に会話はできる状態だった。


「病院よ」


「病院?」


「あなた、事故で怪我したのよ」


節は静かな口調でそっと語りかけた。
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