この愛に抱かれて
第2章 それぞれの道
事故から一週間がたったころ、妹の遥が藤堂博史とともに直樹の病室を訪れた。


直樹はすでに一般病棟の個室に移っていた。


博史の姿を見た直樹は、読んでいた雑誌をテーブルに置くと軽く右手をあげた。


「元気そうだな」

博史が声をかけた。


事故後、見舞いに来るのは初めてだった。


怪我の無かった博史だったが、大事をとって2日間検査入院し、その後、警察の事情聴取を受けていたのだった。


「博史、お前は大丈夫だったのか?」


「ああ。ご覧の通りピンピンしてるよ」


「そうか、良かった」
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