この愛に抱かれて
7つの会社を経営する加藤グループの一人息子である。

別荘のあるここ軽井沢で、直樹はたびたび乗馬を楽しんでいた。


愛馬アルフレッドは直樹の成人祝いに、昨年、父親である源太郎が送ったものだ。

その年の国内で取引されたサラブレッドの中で最高級といわれた血統の馬を5億という額で落札したのだ。
競走馬としての素質は高く競馬会からも注目されていた名馬だった。


暫くすると直樹のもとに、もう一頭、馬が駆け上がってきた。


手綱を引いていたのは直樹の親友、藤堂博史だった。


「おいおい直樹、飛ばしすぎだぜ。
こっちは追いかけるだけでも一苦労だ」


「こいつがご機嫌なのさ」

直樹はアルフレッドのたてがみを軽くなでた。
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