この愛に抱かれて
春川家は5人家族だった。


春川恵慈と妻の美子


娘の利恵と夫の竜彦


それに4歳になる孫、怜



怜と響子は、いとこ同士だ。




恵美子が亡くなった後、美子は利恵と2人、東京で響子の面倒を見ていた。



響子を迎え入れるために、美子は一足先に静岡へ戻っていた。




生前、牧村茂は毎年正月に恵美子の実家を訪れていた。


響子も一緒に来ていたが、余りに幼かったため、祖父母や利恵夫婦のことはほとんど覚えていなかった。


いまの響子にとっては、誰もが見知らぬ人だった。
< 66 / 252 >

この作品をシェア

pagetop