この愛に抱かれて
夕暮れ時、利恵と響子は夕飯の買い物に近所まで出かけた。



歩きながら、響子は利恵の手をずっと握り締めていた。


まるで恵美子と一緒にいるかのようだった。


時々、響子は利恵の身体に抱きついて甘えた。


利恵は、響子が自分に対して心を開きつつあることが嬉しかった。



畑のあぜ道に咲いていた小さな花を摘みながら2人は家に戻った。



家では怜が大声で泣いていた。


昼寝から目覚めた怜は、家に利恵と響子がいないことに気づき大騒ぎしたのだ。


家には祖母の美子がいたから、利恵が出かけていても泣くようなことはない。


怜を不安にさせていたのは、響子の存在だった。
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