この愛に抱かれて
母親の愛情を少しずつ響子に奪われていくように思えてならなかった。



怜の嗚咽する姿を目の当たりにした響子は改めて現実を思い知らされた。



利恵は自分の母親ではない。



怜の母親だ。



恵美子は死んでしまって、この世にはいない。


自分には、もう母親はいないのだ。


とてつもない孤独感が響子を包み込んでいた。
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