彼氏契約書
「…美緒さん?」

目覚ましの音で目覚めたオレは、あるはずのぬくもりを求め、

その名を呼び、目をキョロキョロさせた。


…離すまいと、しっかり抱きしめていたはずのあの体は、

どこにもない。

先に起きたんだろう。

そう簡単に考えていた。

ゆっくりと起き上ったオレも、身支度を済ませようと立ち上がろうとしたら、

紙切れが一枚ある事に気が付いた。


「・・・これは」

何の気なしにそれに手を伸ばしたオレは、愕然とした。


『契約解除について』

最初にそう書かれていた。

内容はこうだった。


『今日、この日を持って、2人に交わされた契約は無効。

契約書は、解除され、今後その契約は二度と実行しないものとする』


その最後に、僕の名前、須藤蒼空。

そして、僕の拇印がしっかり押されていた。


…何の冗談だよ。

オレはそれを持って、寝ぼけた頭をフル稼働させ、リビングへ。
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