彼氏契約書
「美緒さん、この書類は・・・」

意気込んでそう言ったが、そこに美緒さんの姿は無く。

キッチンにも、洗面所にも、トイレにも・・・

どこを探しても、美緒さんはいなかった。


…僕は、ソファーに力なく座る。

そしてまたそれに視線を落とした。


「…昨晩のあれはなんだったんだよ、美緒さん…

どれが本当で、どれが嘘なんだよ・・・

応えてくれよ…美緒さん」

書類を握りしめ、額に押し当てた。



・・・・それから数時間後。


僕は、会社に来ていた。

混乱してても、仕事は行かなければならない。

いやむしろいかなければ、美緒さんに会う事も出来ない。


・・・会ったら、契約解除の意味も、

昨晩の出来事も、聞く事が出来る。



「おはようございます、美緒さん」

「…おはよう、須藤」

…いつもと変わらない美緒さんに、オレは少し苛立っていた。
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