彼氏契約書
・・・で、なんでこうなるの?

今の状況。

実家のリビングに、私の両親、妹(23)と弟(26)が並んで座り、

その反対側に、私と蒼空が座っている。

・・・まるで、結婚の報告でもしに来たみたいな。


「ようこそお越しくださいました。父の忠明です」

「いえそんな。初めまして、美緒さんとお付き合いさせていただいてる

須藤蒼空です」

もう、何でこんな事に。


「お姉ちゃんカッコいい彼氏だね!羨ましい!」

はしゃぐ妹。

「仕事人間だと思ってたけど、ちゃんとやる事やってたんだ」

蒼空を上から下まで舐めるように観察しながら言った弟。


「うるさいよ、2人とも!」

私は二人を睨みながら叫ぶ。

・・・早く、ここから逃げ出したい。

蒼空は、私の彼氏なんかじゃないのよ!そう叫んでやりたいのに、

この状況では、何の反論も出来ない。


…正月の惨劇。そう私は思う。

だって、数時間後には、私以外のすべての人間は、

祝い酒だとかなんとかほざいて、すっかり出来上がっている。

弟は呑み過ぎてその場で寝てるし・・・

妹はお母さんに苦だ巻いてるし・・・

お父さんは蒼空と真っ赤な顔で何やら語り合っている。
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