彼氏契約書
【雄一side】

「どうだ、そっちでの生活は?」

『とっても順調よ。…勉強もいい感じに進んでる』

電話の相手は美緒。

週に1.2度、こうやって電話をしている。

会社の要件で掛ける事がほとんどだが、美緒の事が気がかりで、

声を聞かずにはいられないから、用がなくてもかけたりもしているが。



「…須藤の事は吹っ切れたか?」

…フランスに行って、もう半年が来ようとしていた。

理由は最後まで聞けなかったが、流石のオレでも二人の関係に、

気づかないわけじゃなかった。


…二人は両思いだろうに、なぜ、離れなければいけなかったのか?


その事が気になっていた。

オレがいくら好きでも、美緒の心の中に、違う男がいるとなると、

自分の気持ちを押し付けるわけにはいかない。

だから、遠くから見守る事しかできないが、また美緒に笑顔が戻るなら、

何をなげうってでも、彼女を守るのに・・・・。


『…なんの事でしょうか?』

オレの言葉に、相変わらずぶっきらぼうに返す美緒。

オレは溜息交じりに笑った。
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