彼氏契約書
【蒼空side】

「須藤さん、これが分からないんですが」

パソコンの操作中、薫子が分からない個所を聞きにやってきた。


「・・・ん?あ~、これね、これは・・・」

一つ一つ、丁寧に、薫子が分かるように仕事を教えていく。

教えれば教えるほど、彼女は仕事をしっかり覚えていった。



「薫子さんは、仕事の呑み込みが早いですね」

僕の言葉に、薫子は必死に首を振ってみせる。


「そんな!須藤さんの教え方が上手いから・・・

それに、須藤さんや佐伯専務と仕事をしてるのが楽しいんです」

そう言って微笑む薫子。


「美緒さん、結構スパルタでしょ?大丈夫?」

「はい、たまに言い方はきつかったりしますけど、

その後のフォローも凄いです。流石は専務をするほどの方だなって。

仕事中の佐伯専務とても輝いてて、綺麗で・・・

女の私も惚れちゃいそうです・・・佐伯専務の彼氏は、

鼻高々でしょうね」

そう言ってチラッと美緒さんの方を見た。


僕と同じ考えをする薫子に、親近感が湧いた。

…ただ、美緒さんの彼氏は僕だと言えないのが残念だけど。
(社長に、社長秘書になるまでは黙っているように言われた。
仕事に差し支えたらいけないからと)
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