彼氏契約書
「須藤さん」

「ン?まだどっかわかりません?」

「いえそうじゃなくて」


「・・・?」

突然黙り込んだ薫子を、僕はジッと見つめた。


「・・・佐伯専務の事、好き、なんですか?」

「・・・え?」

突然の思ってもいない質問に一瞬たじろぐ。

ここで好きだと言っても良い物かと。

僕たちの関係がバレテはいけないし・・・。


「…私の思い過ごしですかね?」

「・・・いや・・・好きだよ」

「え?!」

僕の回答に、本気で驚き薫子。

僕は苦笑いを浮かべた。


「上司としても、女性としても、最高の人だと思いません?」

「…それは思います」


「美緒さんを好きにならない人なんて、きっと僕はいないと思いますよ」

辺り障りのない答え。

薫子は、納得してくれるだろうか?
< 146 / 173 >

この作品をシェア

pagetop