彼氏契約書
・・・しばしの沈黙。


「・・・ですよね」

「・・・え?」


「私もそう思います、佐伯専務を嫌いになんて

私には絶対無理です。一緒に仕事をしてそれを強く思いました。

でも、よかった・・・」


「・・・何がです?」

最後にポツリと言った薫子の言葉が少しばかり気になり、問い返す。


「?!・・・いえ。

何でもありません、仕事の手を止めてしまってゴメンなさい」

そう言った薫子は、そそくさとデスクに戻ると仕事を始めた。


僕は一瞬首を傾げ、でも考える事はすぐにやめ、

仕事に取り掛かった。



この時は気にも留めない場面だった。


あんな事になるまでは。
< 147 / 173 >

この作品をシェア

pagetop