彼氏契約書
毎日残業が続き、疲れがたまったのか、

僕は熱を出した。

それでも、いつものように振る舞い、

いつものように仕事をこなしていた。


「…具合、悪いんですか?」

そう言って声をかけてきたのは、薫子だった。


「…いや?いつも通り、元気だよ」

そう言ってニコッと微笑むが、薫子はまだ疑っているよう。

僕は、薫子に大丈夫大丈夫と言いながら、肩を叩くとデスクに戻る。



「無理、しないでくださいね?」

「あぁ、分かってる、ありがとう」

僕の言葉にようやく納得がいった薫子も、仕事に戻る。

…どうやら、今夜も残業になりそうだ。


ある程度まで一緒に仕事をしていた薫子だったが、

遅くまで仕事はさせられないと思い、先に帰らせた。

僕は、デザイン課に美緒さんのデッサンを持って行き、

雑用を済ませたら、帰ろうと思いながら、専務室に戻る。



「・・・・・・」

目の前の光景に、言葉を失う。

これは夢?熱のせいで見る悪夢?
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