彼氏契約書
僕がそんな事をするのは初めてだったので、

美緒さんはもうどうしていいかわからない。


…僕は一瞬そんな美緒さんを見て顔を歪ませたが、すぐに、

専務室を飛び出した。


美緒さんは追いかけてこなかった。

それが更に腹が立ち、どんどん進んでいく。


ドン!

そんな時、曲がり角で誰かとぶつかった。

ふらついた僕は、その場に座り込んでしまった。


「須藤さん、しっかりしてください!・・・凄い熱」

僕のおでこに柔らかな手が触れた。

でもそれが誰なのかわからないほど、熱にやられていたようだ。


そこからどうやって家に帰ったのか、どうやって

眠りについたのかわかる状態じゃなかった。


ただ覚えているのは、悲しそうな美緒さんの顔と、

熱のせいで苦しい自分を何とかしようともがいてた事くらいだった。
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