彼氏契約書
「・・・ん」

朦朧とする意識の中、何とか目を覚ました。

「・・・」

おでこには濡れタオルが置かれている。

ボンヤリとしたまま、周りを見回すと、そこは。


「?!」

一気に鮮明になった意識になった僕は飛び起きた。

でも、相変わらず高熱の僕はふらつき、ばたりとベッドに倒れこんだ。


「無理して起きちゃダメじゃないですか!」

そんな声が僕の耳に入ってきた。


「・・・薫子さん」

「まだ熱があるんですから、寝ててください」

そう言いながら僕の所まで来た薫子は、おでこに乗せられたタオルを、

そっと取ると、また濡らしおでこの上に戻した。


「ここは、君の?」

薫子は小さく頷いて見せた。

・・・昨日、ぶつかった相手は薫子だった。

薫子は、僕の家が分からず、自分の家に連れ帰ったそう。

一晩中、うなされる僕の看病をしてくれたようだった。


「熱は?・・・・まだ高いけど、一汗かいたおかげか、

少しは下がりましたね」

そう言って薫子は微笑んだ。
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